■大学評価学会
∟●政府に対して、改めて6人の会員任命拒否を撤回するとともに、日本学術会議法に則った対応を求める

政府に対して、改めて6人の会員任命拒否を撤回するとともに、
日本学術会議法に則った対応を求める

2023年1月15日 大学評価学会理事会

日本学術会議は、2022 年 12 月 21 日に開催された第 186 回総会において「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』(令和 4 年 12 月 6 日)について再考を求めます」を決定した。続いて、12 月 27 日付で「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』に関する懸念事項(第 186 回総会による声明に関する説明)」を公表した。この「説明」は、第186 回総会の決定に示された「6点の『懸念事項』について詳しく説明することを目的に」作成されている。
大学評価学会理事会(以下、本理事会)は、日本学術会議第 186 回総会の決定(声明)ならびに「声明に関する説明」について、賛同の意思を表明する。それは以下のような理由からである。
菅義偉首相(当時)が日本学術会議によって推薦された6人の会員候補者の任命を拒否したことについて、本理事会は、2020 年 10 月 12 日付で「菅首相による日本学術会議会員の任命拒否に関する声明」を明らかにした。そこでは、「日本学術会議が 10 月2日に提出した『第 25 期新規会員任命に関する要望書』に賛同する。そして菅首相が会員候補者が任命されない理由を明確に説明すること、及び6人の候補者をすみやかに任命することを求め」た。
本学会のみならず多くの学協会が同様の見解を明らかにしている。しかし、会員の任命拒否は改められることなく今日に至っている。現在、協力学術研究団体に対して、第 26-27 期日本学術会議会員・連携会員の選考対象者に関する情報提供が依頼されている。
このような状況のもとで、主務官庁である内閣府は 12 月6日に「日本学術会議の在り方についての方針」を公表した。そこには、以下のような内容が含まれている。
【科学的助言等】では、「1 政府等と問題意識や時間軸等を共有しつつ、中長期的・俯瞰的分野横断的な活動を適切に推進するとともに、国民からの理解と支持の獲得や社会との対話の促進に資するため、『期』を超えた基本的な活動方針を策定すべきこととする。……」と述べている。
【会員等の選考・任命】では、「5 会員等以外による推薦などの第三者の参画など、高い透明性の下で厳格な選考プロセスが運用されるよう改革を進めるとともに、国の機関であることも踏まえ、選考・推薦及び内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じる」と述べられている(以上、下線部は引用者)。
「在り方」に示された内容は、日本学術会議の独立性(日本学術会議法、第3条)を損なうものとなっている。「政府等と問題意識や時間軸等を共有」することはナショナル・アカデミーに求められるべきことではない。任命拒否については、「選考・推薦及び内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行われるよう必要な措置」ということで問題のすり替えが行われている。

いま求められているのは、日本学術会議法を改正することではない。学問の自由を尊重し、「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」(日本学術会議法、前文)という日本学術会議の役割が発揮できるように政府が対応することである。
改めて、政府が日本学術会議法に則って6人の会員任命拒否を撤回すること、あわせて、
2022 年 12 月6日に示した「方針」を撤回することを求める。

以上