毎日新聞(2023/1/30)
学術会議改革 科学系学会など6団体、政府方針の再考求め声明

政府による日本学術会議の改革方針について、科学系の学会と連合体計6団体の会長らが30日、オンラインで記者会見し、性急な改革に懸念を表明し、政府に再考を求める声明を公表した。「内閣府と学術会議の双方が、信頼関係に基づいた建設的な話し合いの場を重ねることを、強く希望する」としている。

連名で声明を出したのは、日本物理学会▽日本天文学会▽日本数学会▽日本化学連合▽生物科学学会連合▽日本地球惑星科学連合――の代表者。政府は日本学術会議法を改正し、会員選考に意見を述べる第三者による「選考諮問委員会」を新たに設ける方針を示している。今国会への法案提出を目指すが、声明は「自律的かつ独立した学術会議の活動を毀損(きそん)するおそれがある」とし、学術会議の会員選考に政府が介入する可能性を指摘した。

日本物理学会の田島節子会長は「学術会議が政府とは独立の立場で科学的視点を提供し、問題提起することは日本の発展に資する。信頼関係が崩れたまま進むのは良くない。着地点を見つけてほしい」と話した。

政府が昨年末に方針を発表して以降、すでに50を超える学会などから、政府方針に懸念を表明する声明が出ている。学術会議の梶田隆章会長はこの日開いた各学会向けの説明会で「今回の事態は任命拒否にもまして、日本のアカデミア(学術)全体に関わる重大な問題と認識している。アカデミア全体で情報を共有して議論していただければ」と呼びかけた。