しんぶん赤旗(2023年2月10日)

日本学術会議会員の任命拒否理由の開示を求めている法律家1162人の共同代表8人は9日、政府に対し、学術会議の会員選考に第三者委員会を関与させる法「改正」方針の撤回を求めるとともに、「政府はまず任命拒否の理由を明らかにすべきである」とする声明を発表しました。

法学者と弁護士合わせて1162人と任命を拒否された6人は、2021年4月、拒否理由に関する文書を公開するよう政府に請求。政府は理由を示す文書を開示せず、6人と法律家グループはこの不開示決定を不服として審査請求中です。

声明では、現会員が次期会員を選ぶ学術会議の会員選考は、慎重かつ公正な手続きを経て実施されており、法改正の必要はないと強調。政府方針は、自らの任命拒否の不透明性を棚上げして学術会議側の会員選考の「不透明」「不適正」を言い募り、同会議の独立性と自律性を侵害する極めて危険なものだと批判しています。

同日、共同代表らが都内で会見。長谷部恭男・早稲田大学教授(憲法)は、学問は厳格な規律を必要とする活動であり、憲法に規定されている「学問の自由」は、その規律を研究者集団が自律的に決めて活動することを守るためのものだと解説。目先の利害で学術活動に外から圧力を加えれば、真理を追究し社会に還元する学者の使命が果たせず、社会全体の利益を大きく損なうと述べました。

任命を拒否されている岡田正則・早稲田大学教授(行政法)は、政府方針は「手続きも内容も異例で異常だ」と指摘。専門家や国民の意見を聞いた上で議論するという通常の手続きを経ず、日本の学術のあり方そのものを変質させようとしていると危惧しました。

福田護、三宅弘両弁護士も発言しました。