すべての学生を対象に授業料無償・給付型奨学金の拡大を
文部科学省「高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議」最終まとめ発表に寄せて

2022年12月23日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会

この度、「高等教育の修学支援新制度の在り方検討会議」は「審議の最終まとめ」を発表しました。それによりますと、これまでは住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯に限定されていた高等教育の修学支援制度(授業料等減免・給付型奨学金)の対象について、1多子世帯(3人以上)、2理工農系(私立)、3理工農系(国公立)を優先順位として中間層へ拡大するとされています。また、同「まとめ」は、修学支援制度を適用される大学等の機関要件の厳格化も打ち出されています。

本来、授業料等の減免や給付型の奨学金は、日本国憲法に定められた国民の教育を受ける権利や日本も批准する国際人権A規約の高等教育の漸進的無償化をふまえたものであるべきと考えます。修学支援制度の目的は、意欲と能力のある学生が、経済的事情にかかわらず希望する分野で思う存分学ぶことができる環境をつくることにあります。

政府は理工系人材の育成を方針として掲げていますが、これと修学支援制度とは分けて議論すべきものと考えます。同「まとめ」で示された内容によれば、これまでより支援対象が広がることになりますが、修学支援制度創設の際に支援対象外となった中間層の学生のうち、理工農系以外の学生は、依然、支援対象から外れることになります。機関要件の厳格化は経営困難から学生を守る等のためとされていますが、これもまた、修学支援制度とは分けて議論すべきものと考えます。機関要件の厳格化によって、むしろ学生の修学機会を狭めることになりかねません。

修学支援制度の本来の趣旨・目的に立ち返り、理工農系にとどまらず、すべての分野を学ぶ学生について、授業料等減免と給付型奨学金の対象とすることを求めます。