ファイナンシャルフィールド(4/18)

大学生の約半数が奨学金を利用!「平均借入額」は?

奨学金の借り入れを検討している場合、ほかの人がどのくらいの奨学金を借りているのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

借りられる奨学金の額は、進学先や借り主の状況によっても変わってきます。

この記事では、奨学金の利用についての概要、また、進学先ごとの借り入れ平均額を紹介します。

奨学金は、多くの学生にとって人生で初めての借金であり、計画的な借り入れと返済が大切です。月々の返済例も紹介しますので、本記事を参考にして、将来の返済についても考えてみましょう。
大学生の半数が奨学金を利用している

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の令和2年度学生生活調査結果によると、奨学金を受給している大学生の割合は49.6%、短大生では56.9%と半数を超えており、受給者は年々増加傾向にあります。

また、JASSOによる令和3年の奨学金支給実績は、新旧制度合わせて約32万人、総額1436億円です。

この支給実績は、JASSOの実績であるため、大学や地方自治体が行っている奨学金制度を加算すると、かなり大きな額が奨学金に使われていることが分かります。
奨学金の平均借り入れ額約310万円

では実際に、大学生は奨学金をいくらくらい借りているのでしょうか。

労働者福祉中央協議会が2022年9月に実施したアンケートによれば、大学生の平均借り入れ額は約310万円であり、借り入れ金が200~300万円である学生は全体の4分の1を占めています。

また、卒業後の返済に苦しむ方も少なくありません。返済の負担感について、「苦しい」と回答したのは、全体の44.5%と半数近くにのぼっています。同時に、4人に1人が、奨学金返済を延滞したことがあるとの報告も。

学歴社会ともいわれる現代だからこそ、多くの学生が奨学金を借りている一方、返済を負担に感じている方も少なくないようです。
大学での学費負担はどの程度?

奨学金には、返済の必要がない給付型奨学金と貸与型諸学金の2種類があり、貸与型奨学金は「有利子・無利子」に、それぞれ分けられています。

約6割の学生は、貸与奨学金の「有利子型」を利用しています。また「無利子型」や「給付型」を利用している学生も、貸与金が足りないことから、多くの方が有利子型の奨学金と併用していることが分かりました。

さらに、労働者福祉中央協議会のアンケートでは「大学の学費が高すぎる」と回答した方が6割弱と、過半数を占めています。

文部科学省によれば、令和3年度の大学の入学金・授業料を合わせた初年度の学費負担は、平均約80万~120万円、4年制の大学であれば平均500万円近くの学費を負担することになります。

このように、学費が高いことによって負担が増し、また、非正規雇用や無職になることも相まった結果、回答者の2割が貯金を切り崩して生活をしているようです。

返済にどのくらいかかるのか

利用者の半数近くが「苦しい」と回答した奨学金の返済。では実際、奨学金の返済にはどのくらいの期間が必要なのでしょうか。

労働者福祉中央協議会のアンケートによると、毎月の返済額は平均1.5万円、返済期間は平均14. 5年とされています。

今回は4年制の大学・6年制の大学・2年制の短期大学に進学し、それぞれ月々3万円・5万円・10万円を借りた場合の、返済額を一覧にしました。

図表1

※日本学生支援機構の奨学金貸与・返還シミュレーションをもとに、筆者が作成

この表は、以下を想定して作成されています。

●有利子の奨学金
●年利0.5%
●卒業後半年で返済が始まる

個人差はあるものの、奨学金の返済が生活に影響してしまうのも納得の返済額です。

返済総額は利息によって増えてしまうため、繰り上げ返済を行って、返済期間を短縮することで、返済額の節約ができます。

しかし、繰り上げ返済によって、月の返済額が一時的に増えるため、預貯金や収入状況を考えたうえで返済しましょう。
奨学金の利用は計画的に

奨学金制度によって、多くの学生が進学を諦めることなく、高等教育を受けられるようになりました。

しかし、奨学金の返済に関しては、多くの利用者が負担を感じています。また過去には、“奨学金破産”という言葉も社会問題となりました。

返済に困ったときは、減額制度や返還猶予といった、救済措置の利用を視野に入れてもいいかもしれません。奨学金の利用を検討するさいは、返済計画を立てるとともに、周りと相談しながら行いましょう。