週刊女性PRIME(2023/1/19(木) )

京都の名門女子校の教員が“独裁”理事長を提訴 差別発言、賃金30%カット…校長が全内幕を激白!

「この度、教職員が意を決し、民事訴訟を起こします。その決意は並々ならぬものを持ってのこと。その根本には、私たちが守ってきた教育を継続したいという思いと、生徒に対する誠実な姿勢で教育にあたりたいという情熱のあらわれです。そんな教職員を、一連の問題に最初から携わってきた私がバックアップをするのは、当然のことです」

名門・平安女学院(以下、平女)の教職員4人が、1月19日、同校の山岡景一郎理事長(92)のパワハラ行為によって精神的苦痛を受けたとして、山岡理事長に400万円の損害賠償などを求める訴訟を京都地裁に起こした。

山岡理事長のパワハラや、不当に給与が低いことなどを訴えるが、ことの発端は2年前に遡る。

高校の卒業式の式辞で、理事長が差別発言

「2021年3月、高校の卒業式で、山岡理事長が人間を5種類に分類する話をしたのです。式辞で“いてもいなくてもいい人”“いたらあまりよくない人”“害になる人”と、人間に優劣をつける差別発言が、生徒や保護者、教職員だけでなく卒業生も巻き込む問題となりました」(地元紙記者)

1875年に創立されたキリスト教系の女子中高である平女。日本で初めてセーラー服を採用した学校としても知られる。そんな歴史ある学校で“お家騒動”が勃発し、教育現場は長きにわたって混乱している。

「あの式辞から、今年3月で2年という時間がたちます。生徒や保護者のためにも、1日でも早く騒動に終止符を打たねばなりません」

冒頭に続き、こう話すのは平女で40年以上にわたり教員を務めてきた今井千和世(ちわよ)校長(69)だ。

今井校長が、山岡理事長のパワハラで教職員が苦しめられてきた実態を『週刊女性』に語った。

「キリスト教の教えでは、どんな人でも、この世に望まれて生まれてきた、かけがえのない存在であると言っているのですが、理事長の式辞では真逆のことを言っている。さらに“なんぼ勉強ができても愛嬌がなければダメ”という発言もありました。当校は女子を対象とした学校なのに、です」(今井校長、以下同)

2021年4月に森喜朗元首相による女性蔑視発言が物議を醸した。同時期、女子高の卒業式で、女性に“勉強ではなく愛嬌が必要”と説いた発言があったのだ。

「山岡理事長の発言に、多くの保護者や卒業生からお叱りの電話やメール、手紙をいただきました。なかには“不登校だった娘が、卒業式だけはと、やっとの思いで出席したのに、世の中にいたら害になるという言葉を聞き、自分がそうなのではないかと感じ、帰ってきて泣いています”という内容もありました」

門出の日に、理事長の無神経な言葉によって、心に深い傷を負わされたという。

「山岡理事長には、取り返しのつかない発言をしたという自覚すらもないでしょう。今まで何人もの教職員が、理事長の理不尽な言動によって辞めていきました」

経営コンサルタントなどをしていた山岡理事長は、80億円にのぼる債務があった平女を立て直すため、2003年にその手腕を買われ同校の理事長に就任。人件費カットなどの施策を講じ、学校経営を立て直した。

経営を立て直したというものの…

「立て直したと言っても、賃金の大幅な引き下げが前提でした……。教職員は平均30%の賃金カットをされました。私は約800万円あった年収が、480万円に引き下げられました。50歳以上の教職員は一律、480万円になったのです。それでも私たちは、まだいいほう。若い教職員は、本当に少ない給料しかもらっていない。そして、下げられた賃金は、それからほとんど上がっていないというのが現状です」

裁判では、賃金に関する訴えをした教職員がいる。

「昇給に関する規定がなく、給与はすべて山岡理事長が決定します。新卒で入っても、5年、10年もそのままの給料という人が何人もいます。残業代を含む手当ても一切つきません。訴えても拒否されました。理事長は“この金額でも働くヤツはいくらでもいる”“辞めたいなら辞めろ”と言っていました」

2021年8月に労働基準監督署の指導が入り、改善されるかと思いきや、

「労基署は、労働時間や残業代に関する指導だけで、一部の残業代などが支給されるようになっただけ。それも事前申告という形のみです。山岡理事長は自分を守るためか、少しは昇給するようになったのですが、それも雀の涙。

理事長に意見をした教職員は、人事評価を行う面談すらせずに最低評価をつけて、給与を決めることも。このほかに教育予算も大幅に引き下げられました。これによりクラブ活動では、新しい備品が買えず、必要な備品は外部からもらうか、自腹で購入する教職員もいます。

賃金が低くとも、生徒が可愛くて学校に残り、生徒が不自由をしないようにする、教職員たちの涙ぐましい努力があるのです」

生徒のためとはいえ、教員も自己犠牲を続けられるわけではない。不満は噴出するが、山岡理事長の手練手管によって、やり込められる。

あくまでも味方のフリをする理事長

「山岡理事長は“問題があればワシには何でも言ってほしい”と話すのですが、その言葉を真に受けて直談判に行くと“あいつはワシに給料を上げろと言うから、どうにかして辞めさせなアカン”と、私を呼び出して言うのです。

別の先生には“今井校長がお前を辞めさせろと言っているがワシが止めているんや”と話して、あくまでも味方のフリをする。

最近では“管理職に取り立ててやる”などと言って教職員を取り込んで、私たちの情報を報告させています。事実無根のウソを言いふらし、私たちを“分断”させようとしてきました」

そして、こう続ける。

「教職員同士チームとして働き、子どもと子どもを繋げ、親同士を繋げていくというのが教育の場で大切なのに、教職員たちは真逆のことをさせられているのです。お互いを疑心暗鬼に陥れるようなことをして……」

記事【京都・名門女子校「不当な懲戒解雇」「給付金の不正受給疑惑」激化するお家騒動と“お金配り”理事長の思惑】では、今井校長が語った激化する平女“お家騒動”の内幕と、山岡理事長が女子学生に“金銭”を渡す行為を報じている。