しんぶん赤旗(2023年1月30日)

理化学研究所が3月末の雇い止め対象としている有期雇用の研究者に対して、理研外部から提供されている研究費が2022年度で105件8億2250万円にのぼることが、理研労働組合(理研労)、理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク(理研ネット)の調査で分かりました。

理研は、有期雇用の研究者の無期転換を逃れるため、雇用上限を10年とする規定をつくり、3月末で大量雇い止めを計画しています。10年上限の対象者には研究チームリーダーも含まれ、チーム解散と合わせて400人が雇い止めとなります。

しかし、4月以降も研究継続が予定されている、理研外部から研究費提供を受ける研究代表者らが、68人います。

日本医療研究開発機構の支援対象など、国民の健康に切実な、がん医療や医薬品などの研究も多数含まれています。

雇い止め通告を受けた研究チームリーダーのひとりは、女性の体に負担をかけずに乳がんを早期に発見する技術開発をしており、理研の中長期目標・計画にも位置付けられていました。研究費獲得にあたっては、理研で実験を行うことを前提に、理研理事長との連名で申請していました。現在、雇い止め通告の撤回を求めて、さいたま地裁で係争中です。

理研労と理研ネットは、理研が研究プロジェクトの期限だから雇い止めであるかのように装っているが、実際はプロジェクトの途中でも、理研外部からの委託も無視して雇い止めを強行しようとしていると批判。「研究力の低下といわれる事態をさらに悪化させる」と訴えています。