NHK長崎(2023年1月30日18時11分)

長崎大学で有期契約の助教として勤務していたベルギー人の男性が大学の雇い止めは無効だとして大学を訴えた裁判で長崎地方裁判所は大学に対して、雇用の継続と雇い止めされてから現在に至るまでに支払われるはずだった賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。

この裁判は、長崎大学の医学部で有期契約の助教を務めていたベルギー人のリュク・ロースフェルトさんが、契約更新時に大学から説明がなく読み書きの苦手な日本語の通知書で契約期間がそれまでの3年から2年に変更され、4年前の2月末に雇い止めになったとして訴えを起こしました。

ロースフェルトさんは、5年を超えた契約職員などを期限のない雇用に切り替えるよう雇用主に義務づける「無期転換ルール」から逃れるためだとして、長崎大学に対し、雇用の継続や雇い止めされてから現在に至るまでに支払われるはずだった賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。

30日の裁判で長崎地方裁判所の天川博義裁判長は雇用の継続について「形式的な手続きで2回の更新がされ、契約期間が通算8年間に及んでいたことからすれば、引き続き、労働契約が更新されるものと期待したことについて合理性がある」と指摘した上で、期間の定めのない労働契約上の地位にあることを認めました。

そのうえで原告側の訴えを認め、雇用の継続と雇い止めされてから現在に至るまでに支払われるはずだった賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。

判決を受けて原告のロースフェルトさんは記者会見を開き「判決をうれしく思っています。学問以外でも大学は高い基準を社会に示すことが大事だ」と話していました。

また、長崎大学は「本学の主張が認められなかったことは誠に残念です。判決文の内容を精査した上で検討して参ります」としています。