日刊サイゾー(2023/02/06)

大学に淘汰の足音が忍び寄っている。23年度入試では学生募集を停止し、学科だけではなく、学部までも廃止する大学が出ている。

筆者の調べによると、23年度の入学試験で8大学の8学部で学生の募集を停止している。

これら8学部では、学科で募集を停止したところもあれば、学部全体の募集を停止したところもある。その上で、募集を停止した学科や学部を他の学部や学科に併合、あるいは廃止した上で、新たな学部や学科を開設するなど“スクラップ・アンド・ビルド”を行っている大学もある。

文部科学省の学校基本調査によると、大学の数は92年のから22年の30年間で523校から807校に284校(54.3%)も増加した。

出生数をベースに大学進学時にあたる18歳の人口数を見ると、92年(74年生まれ)は202万9989人だったが、22年(04年生まれ)は111万721人と91万9268人(45.3%)も減少している。

それでも大学数の増加が続いたのは、進学率の上昇によるところが大きい。92年に26.4%だった大学進学率は、22年には56.6%と約2倍になった。大学数の増加と進学率の上昇は、見事なまでに同じ上昇線を描いている。(表1)

しかし、日本私立学校振興・共済事業団の「22年度私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、私立大学の48%が入学定員数割れに陥っており、入学者数が定員の50%未満が13校、50%台が17校もある。

これから少子化はさらに加速する。出生数をベースとした18歳の人口は、21年生まれが18歳になる39年には81万1622人に、40年には80万人を割り込み、78万人程度まで減少する可能性がある。

過去30年間の進学率は年平均1.0%で上昇してきたが、出生数の減少は年平均2.0%で進んできているため、進学率の上昇で大学進学者数の減少に歯止めをかけるのは困難だ。

実際に、入学者数の減少はすでに大学経営を直撃している。

日本私立学校振興・共済事業団の「今日の私学財政(令和3年度版)」によると、大学の事業活動収支は、地方の大規模大学(学生数8000人超)でも10.5%が赤字に陥っており、地方の中小規模(学生数8000人未満)大学に至っては36.0%が赤字、都市部の中小規模大学でも31.3%が赤字となっている。23年度入試で学生の募集を停止した大学の多くも、地方の小規模(学生数4000人未満)だ。

大学の経営悪化に対しては、政府も危機感を抱き、本格的な検討に乗り出している。文部科学省は22年5月17日、中央教育審議会大学分科会に大学振興部会を設置した。同部会では、「学生保護の仕組みの整備」について検討が進められているが、その具体的な検討項目は大学の経営破綻時の学生保護の仕組みだ。

「栄枯盛衰」は世の倣いとは言え、少子化により最高学府である大学までもが、すでに存続の危機に直面し始めている。少子化は今後も一段と進むことになる。こうした恒常的な入学者数の減少の中で、各大学は存続をかけて、どのような変化を遂げていくのであろうか。