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3月も半ばとなり、お子さんの大学進学が決まったとご家庭もあるのではないでしょうか。

【円グラフ】40~50歳代「みんなの貯蓄」どれくらい?奨学金を借りてほしい人の割合も

年明けの岸田首相の「異次元の少子化対策」発言にはじまり、児童手当の所得制限撤廃についても言及されるなど、今年は少子化対策に注目が集まっています。

少子化にはさまざまな要因があると考えられますが、その一つが「教育費の高さ」です。

ソニー生命株式会社が大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1000名に対して行った「子どもの教育資金に関する調査 2023」によれば、「大学等の学費は高すぎると思う」に対して、「非常にそう思う」が48.8%、「ややそう思う」が 37.2%となっており、そう思う(計)」は86.0%でした(2023年3月9日公表)。

今回はいまの子育て世代の大学学費に対する思いと、40~50歳代の貯蓄を確認しましょう。

大学学費「4年間の総額」は?奨学金「利用してもらいたいと思う」約4割

大学の学費は高いといわれますが、実際にどれくらいかかるのでしょうか。

日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」より、入学費用と在学費用をあわせた平均的な4年間の学費を計算します。

大学費用の平均的な総額(入学費用を含む4年間・国公立・私立大学別)
・国公立大学:481万2000円
・私立大学文系:689万8000円
・私立大学理系:821万6000円
※受験費用(受験したすべての学校・学部の受験料や受験のための交通費・宿泊費)や学校納付金、入学しなかった学校への納付金授業料、通学費(通学定期代、通学用の自動車の燃料費や維持費など)、その他の学校教育費(教科書・教材費、学用品の購入費、施設設備費など)を含む。

上記は受験費用や通学費なども含んでいますが、国公立で500万円近く、私立文系で700万円近く、私立理系で800万円台となりました。

お子さん1人で上記の金額ですから、2人以上いればさらに高額となるでしょう。

先ほどのソニー生命の調査によれば、高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(756名)に子どもに貸与型奨学金を利用してもらいたいと思うか聞いたところ、「利用してもらいたいと思う」が40.4%、「利用してもらいたいと思わない」が41.5%でした。

子どもに貸与型奨学金を利用してもらいたい親(305名)に、総額でいくらくらい借りてもらいたいか聞いたところの結果は以下の通り。

「100万円未満」「100万円~200 万円未満」(ともに18.4%)、「200万円~300万円未満」(16.4%)、「300 万円~400 万円未満」(14.4%)などとなっています。

平均でみると332万円でした。

40歳代「二人以上世帯の貯蓄」はいくらか

では、実際にお子さんを大学に出す方が多い40~50歳代の方は貯蓄をどれくらい保有しているのでしょうか。

今回は金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」より、まずは40歳代・二人以上世帯の貯蓄を確認していきます。

40歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産非保有世帯を含む)
・平均:825万円
・中央値:250万円
・貯蓄ゼロ:26.1%
上記はお子さんがいない世帯も含みますが、平均で825万円なものの、より実態に近い中央値は250万円となりました。

貯蓄ゼロ世帯も4世帯に1世帯となっており、先ほどの国公立大学の学費にも届きませんでした。

50歳代「二人以上世帯の貯蓄」はいくらか

同調査より、50歳代の貯蓄を見ていきましょう。

50歳代の貯蓄(金融資産非保有世帯を含む)
・平均:1253万円
・中央値:350万円
・貯蓄ゼロ:24.4%
50歳代の貯蓄の平均は1000万円を超えますが、中央値は350万円まで下がります。また50歳代も4世帯に1世帯は貯蓄ゼロとなっています。

50歳代になればお子さんの教育費だけでなく、自身の老後資金についてもより真剣に対策をとりたい年代でしょう。

ただ貯蓄の中央値は350万円となっており、教育費だけでなく老後資金に対しても余裕がない世帯が多いと考えられます。

教育費や老後資金、現役世代の負担は大きい

2019年には「老後2000万円問題」が話題となりました。老後までに2000万円を目標とするならば、40歳代のころからコツコツと貯めていきたいところでしょう。

しかし教育費の負担が大きく、また昨今の物価高などもあり、実際には老後まで手が回らないご家庭もあると思われます。

平均年収が上がらない中、物価や社会保険料は上がり、老後への不安が高まる現代において、高過ぎる教育費は少子化の一因になりえるでしょう。
参考資料

・ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査 2023」
・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」
・日本政策金融公庫「令和3年度教育費実態調査」