河北新報(3/22)

東北大が1期6年と定める総長の任期を1回に限り再任(任期4年)できるよう、規程の改正を検討していることが分かった。4月1日に改正する方針。新年度早期に施行されれば、2024年3月末に任期満了を迎える大野英男総長(68)の後任選出手続きにも適用される。

【表でみる】東北の国立大と全国の旧帝国大の学長(総長)の任期と再任の可否

■「国際卓越大学」目指す

東北大の総長選考・監察会議が1月、大学の各評議員に宛てた文書で方針を示した。会議は学外と学内の委員6人ずつで構成し、次期総長を決める。

文書では任期6年を基本としつつ、業務実績や事業計画などに応じて最長10年まで伸ばす選択肢を用意することが大学経営にとって重要と強調。国立大学法人法が「役員は再任できる」と定める点も踏まえ、現職も次期候補者から外さない制度を整えるとした。

総長選考は東北大の経営協議会と教育研究評議会が各5人以内の候補者を推薦するほか、教授・准教授30人以上の推薦があれば候補者になれる。夏までに出そろう候補者を1次選考で最大3人程度に絞り、2次選考の面談などを経て秋ごろ次期総長が決まる見通し。

「総長は1期6年で再任できない」とする現行規程は、総長選考・監察会議の議決により改正できる。

東北大は新年度、世界と肩を並べる研究大学の実現に向けて政府が年間数百億円を支援する「国際卓越研究大学」の認定を目指している。東北大は卓越大学として長期的に一貫した運営を行うには、総長任期の延長が必要と判断したとみられる。

■「プロセス透明化を」

東北の国立大と全国の旧帝国大の学長(総長)の任期と再任の可否は表の通り。東北の7国立大のうち5大学が再任を認めているが、旧帝大は2大学にとどまる。

東北大の経営協議会委員を務める吉武博通筑波大名誉教授は「実績を上げている学長を次期候補者から排除しないことに問題はないが、規程の改正は学内に丁寧に説明し、プロセスの透明化を図ることが大切だ」と指摘。「学長選考の本質は大学をより良い方向に導くトップを選ぶことができるかだ。学内の意見をくみ取りながら学外からの要請も踏まえ、指導力と経営力のある人物を選ぶ見識が問われる」と話す。