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早稲田大学は文系と理系の横断教育によるイノベーション人材輩出を柱に国際卓越研究大学を目指す方針を明らかにした。数学やデータの全学教育、エネルギーの実践型博士育成を生かし、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)をテーマに据える。またイノベーション創出力を高めるため、ノーベル賞級の研究者の雇用に最高年俸7500万円を可能とする新制度導入を全学で決定した。

国が10兆円規模の基金を活用して支援する国際卓越研究大学は3月末が応募の締め切り。早稲田大学の田中愛治総長は文理を越えた国際的な教養と論理力を持つ人材育成に力を入れてきた。国際卓越研究大学について「イノベーション創出の本物の研究者を輩出し続ける大学」(田中総長)と捉える。

早大は約15年前から日英の学術ライティング、数学、情報科学の基盤教育を手がけてきた。近年はいち早くデータ科学の全学教育に乗りだし、政治経済学部入試での数学必修化で学生の質の向上に成功している。

また大学院5年一貫「パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム」(PEP)や起業家育成プログラムも強み。他大学・企業との連携では文理の専門を越えて学生が参加。文部科学省事業で高評価を維持している。

研究の中心にカーボンニュートラルを据えることで理工系だけでなく、ビジネス、経済、法律、環境など同大の強い人文・社会科学系と融合した総合力を発揮する。

一方、著名な研究者を高額給与で迎え、定着に導く仕組みを整備する。優れた研究者を呼び寄せる国際競争が激化しているためだ。学内育成を重視した若手研究者のプログラムや、ベンチャーファンドで後押しするスタートアップ創出との相乗効果にもつなげる。