しんぶん赤旗(2023年4月4日)

専修大学に無期雇用への転換を求めて裁判をたたかっていたドイツ語非常勤講師は3日、厚生労働省で会見し、最高裁が大学側の上告を受理せず棄却し、5年雇用継続による無期転換成立を認めた東京高裁判決(21年12月)が確定したと発表しました。

原告の小野森都子(もとこ)さんは、1989年から非常勤講師を務め、2019年6月、労働契約法に基づいて無期転換を申し込みました。大学側は、科学技術イノベーション活性化法(イノベ法)による特例で、無期転換権発生が10年に先延ばしになる「研究者」にあたるとして拒否しました。

21年12月、東京高裁(村上正敏裁判長)は、非常勤講師に対して「研究者」の無期転換10年特例の適用を否定し、5年無期転換を認めました。

会見で田渕大輔弁護士は、「最高裁は『研究者』の解釈について、東京地裁、東京高裁の判決をそのまま是認した。実際に研究業務に従事していなければ、10年特例の『研究者』にはあたらない」と指摘。「複数の大学で争いがあるが、教育業務だけの非常勤講師に適用できないことが明確になった」と強調しました。

小野さんは、「非常勤講師の雇用安定がはかられ、うれしい。安定雇用でなければ教育業務はできず、その被害者は学生だ」と述べました。

無期転換の10年特例には、イノベ法のほか、「大学の教員等の任期に関する法律」(任期法)もありますが、今年1月、羽衣国際大学の非常勤講師への適用を否定する大阪高裁判決が出されています。