毎日新聞(4/8)

金沢大の男子寮「泉学寮」(金沢市野町5)が7日、1週間の延長期間を終え、廃止された。新型コロナウイルス禍などの影響で経済的に困窮する学生が増える中、寮生らが寮の存続を求めて署名活動を展開。国会や県議会でも取り上げられたが、大学側の廃止方針は変わらなかった。大学側に要望を続け、転出先を決めていなかった寮生もこの日までに退去し、半世紀以上の歴史に幕を下ろした。

金沢大は2019年、女子寮「白梅寮」(1964年完成)と泉学寮(65年完成)を今年3月末で廃止することを決定。寮の存続は認められなかったが、転居先が決まっていないなどの17人については、寮生の求めに応じ、廃止直前に退去期限を7日まで延長していた。

この日は、存続活動の中心の一人だった4年生の冨樫洋乃輔さん(22)ら8人が寮から最後の荷物を運び出した後、午後5時すぎに大学職員らが建物を封鎖した。

約70人(2022年4月)いた泉学寮。寮生の多くは大学近くのアパートなどへ転居したが、現在のアルバイトを続けるため、金沢市中心部近くの一軒家で共同生活する人もいるという。また、冨樫さんらは大学に対し、経済的に困窮する学生が県営住宅に入居できるよう求めており、県も現在、検討を進めている。冨樫さんは「寮は廃止されたが、困窮学生の住居や生活の問題は解決されていない。泉学寮廃止が社会への問題提起になればいい」と話した。

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