日本移民学会理事会は、関東大震災での朝鮮人(など)の虐殺を否定するような説明によって映画作品の上映が中止されたことに関して、東京都総務局人権部に抗議する以下の声明文を本日発表いたしました。

ご賛同いただける場合は、転送・転載くださいますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

竹沢泰子
京都大学人文科学研究所
新HPを公開しました。
https://yasukotakezawa.com/

声明のPDFはこちら

 

2023年1月10日

東京都総務局人権部による映像作品の上映中止に関する声明文

2022年8月30日から11月30日まで、東京都の指定管理施設である東京都人権プラザ(公益財団法人東京都人権啓発センター)における飯山由貴氏の企画展「あなたの本当の家を探しにいく」の附帯事業として、映像作品「In-Mates」(2021年制作)の上映とトークイベントが予定されていましたが、東京都総務局人権部によって中止されました。

東京都総務局人権部は上映中止に至る過程で、1923年の関東大震災での朝鮮人の虐殺を「事実」と発言する動画を使うことに懸念があると説明しています。朝鮮人などの虐殺は、史料と証言に裏付けられた否定できない歴史的事実です。東京都総務局人権部の説明は、その事実を否定する立場を公的に容認するもので、日本の歴史を理解する上で深刻な問題です。過去の悲惨な事件について学ぶことは、同じような過ちを二度と繰り返さないために、日本社会全体にとって重要なことです。

また、今回の上映中止は、芸術作品を通してマイノリティの経験や感情、声を表現することを封じ込める対応で、憂慮すべき事態です。移民やマイノリティをテーマにした芸術作品の発表は、多様な考え方や表現を通して日本社会を文化的に豊かにしていくことに寄与するものだと考えます。

日本移民学会は、移民やマイノリティの歴史的経験や現代の諸課題について研究し、その成果を通して社会に貢献することを目的とする専門家の組織です。このような立場から、日本移民学会理事会は、今回の東京都総務局人権部から朝鮮人虐殺の史実を否定するような説明があったことと、上映とトークイベントが中止されたことに対して強く抗議します。

移民やマイノリティを含め、すべての人の人権が尊重され、だれもが平等に生きることができる社会の実現が望まれます。

日本移民学会理事会一同
理事会名簿 https://imingakkai.jp/.assets/member2022_10.pdf
日本移民学会https://imingakkai.jp