毎日新聞( 2023/1/18 20:20)

有期雇用契約が通算5年を超えたのに、無期転換されず雇い止めを受けたとして、羽衣国際大(堺市西区)の専任講師だった大阪府内の女性(47)が、運営法人に地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が18日、大阪高裁であった。冨田一彦裁判長は請求を退けた1審・大阪地裁判決(2022年1月)を変更し、雇い止めは違法と判断、未払い賃金の支払いを大学側に命じた。

女性は13年から専任講師として3年の有期契約を結び、16年に更新。労働契約法の改正で、有期契約が通算5年を超えると無期雇用への転換を求めることが可能になり、女性も18年に申し入れた。しかし、大学側は、研究職などは通算10年とする大学教員任期法の特例があるとして、拒否。19年に女性を雇い止めにした。

高裁判決は、研究職に当たるかどうかは「具体的事実によって客観的に判断できることが必要」と指摘。女性は介護福祉士の養成を担当しており、「研究の側面は乏しい」と判断し、特例の対象とした1審判決を見直した。

女性は代理人弁護士を通じて「全国の大学教員が安定した雇用で教育に没頭できると良いと思っている」とコメントした。運営法人の羽衣学園は「判決文を精査して対応を検討する」としている。

 

Web 労政時報

大学講師の雇い止め無効 大阪高裁、逆転判決

 有期雇用契約が通算5年を超えたのに、無期契約転換されず雇い止めにされたとして、羽衣国際大(堺市)の元講師の女性(47)が、運営する学校法人に地位確認を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は18日、雇い止めは無効と判断し、学園側に未払い賃金の支払いを命じた。昨年1月の一審大阪地裁判決は、女性の請求を棄却していた。

労働契約法は有期雇用契約が通算5年を超えた場合、労働者が希望すれば無期契約に転換できると定めている。一方で、多様な人材確保が必要な研究職は、通算10年を超える契約期間が必要との特例がある。

訴訟の争点は、女性が担当する介護福祉士の国家試験対策が、研究職かどうか。冨田一彦裁判長は、研究職であるかは「具体的事実に基づいて客観的な判断が必要」と指摘。女性の担当講座は「研究の側面は乏しい」として、特例を適用した一審判決を見直した。

女性は代理人を通して「全国の大学教員が安定した雇用で教育に没頭できればよいと思っている」とコメントした。

運営法人の羽衣学園は「判決を精査して対応を検討する」としている。

判決によると、女性は2013年4月から介護福祉士を養成するコースの専任講師となり、18年11月に無期雇用を申し入れたが、19年3月に雇い止めになった。

(共同通信社)

 

朝日新聞(2023年1月18日 19時51分)

無期雇用への転換 特例10年の対象はどんな人? 大阪高裁の判断は

有期雇用が通算5年を超えると無期雇用に転換できる労働契約法のルールについて、特例で10年とされる「研究者」とはどんな仕事の人たちを指すのか。この点が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(冨田一彦裁判長)は18日、「多様な人材の確保が特に求められる職であることが必要」との判断を示した。

この訴訟は、羽衣国際大学(堺市)で2013年から専任講師を務めていた女性(47)が18年に無期転換を申し出たのに拒否され、19年に雇い止めされたとして、大学側を訴えていた。

一審・大阪地裁判決は、大学教員任期法が10年の特例対象と定める「先端的、学際的」な研究に従事する人たちに女性が該当するとして、訴えを退けた。

……以下…略。