東北大学職員組合
∟●仙台高等裁判所判決に対する声明

仙台高等裁判所判決に対する声明

2023年1月25日
東北大学職員組合

1 本日、仙台高等裁判所は、地位確認を求める訴訟(2018年2月1日労働審判申立て、その後、訴訟に移行)の仙台地方裁判所の判決(2022年6月27日言渡し)に対する控訴審において、控訴を棄却する判決を出した。

2 東北大学職員組合の組合員による本訴訟は「有期雇用契約を12年間継続して毎年更新してきた原告が、2018年3月31日に雇止めされた事案であった。この訴訟は、本件雇止めが労働契約法18条に基づく無期転換申込権の発生を阻止する目的でなされた違法無効なものであることを明らかにし、原告の労働契約上の権利、労働者としての尊厳の回復を求める」ものであった。

3 仙台地方裁判所の判決は、「通算契約期間を5年以内と定め、無期転換申込権の発生直前に雇止めをするという意味で、無期転換申込権の発生を回避することを目的とした雇止めをしたことをもって、直ちに同法(労働契約法)に抵触するものではない」とし、事実上、東北大学の「無期転換逃れ」目的の雇止めを容認したものであった。控訴審は、労働契約法の趣旨に全く反する仙台地裁判決の是正を求めたものであった。

4 本日の判決は、この仙台地方裁判所の判決をそのまま追認したものであり、無期転換逃れの雇止めの違法性を明らかに看過した不当な判決であると言わざるを得ない。

5 現在日本の多くの大学や企業においては、改正労働契約法の趣旨に反し、5年上限の就業規則が設けられ、無期転換権が発生する前に雇止めされるケースが多い。また大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換申込権発生までの期間を5年から10年とする特例が法的に設けられたが、2023年3月末がその10年にあたり、我が国では2500名以上が雇止めの対象となっている。
本日の仙台高等裁判所による判決は、有期契約労働者の雇用の安定のための労働契約法の趣旨を理解せず、我が国の労働者の約 4 割を占める非正規労働者の地位と待遇をますます悪化させるものとして、社会全体に大きな影響を与えるものである。

6 私たちは本判決を不服として、最高裁では必ずや本判決の不当な判断を是正させ、非正規職員の無期転換に向けた全面的解決に臨む決意をここに表明する。

以 上