毎日新聞(2/17(金))

福井大教授が、他大学の複数の研究者と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした問題で、福井大は17日、教授を減給の懲戒処分にした。大学は教授の氏名や所属を公表していない。関係者によると、処分されたのは友田明美教授。

福井大によると、減給は5段階ある懲戒処分の中で4番目の重さ。大学の職員懲戒規定では、1カ月あたりの減給額は、その月の給与総額の10分の1を超えない範囲と定められている。大学は減給の額や期間を明らかにせず、「減給規定の中で最も重い内容としている」と説明した。

査読は、学術誌に投稿された論文をその分野の別の専門家が読んで妥当性をチェックし、掲載の可否を判断する審査方法。大学の調査報告書などによると、友田教授は責任著者を務めた学術論文6本について、本来は第三者が作成すべき査読コメントを「自作自演」して査読者に送付し、論文を掲載させた。査読者だった千葉大社会精神保健教育研究センター副センター長の橋本謙二教授ら3人も、この不正に協力した。

福井大の調査で、友田教授の部下の教員ら2人も偽装に関与したと認定されたが、懲戒処分はなかった。上田孝典学長は「極めて遺憾であり、大学における研究に対する信頼を失墜させた」などとコメントした。

友田教授は、児童虐待が脳に与える影響などを研究。問題発覚後、国の大型研究開発計画「ムーンショット」のプロジェクトマネジャーを辞任した。偽装に協力した橋本教授について、千葉大は14日付で、懲戒処分ではない訓告処分とした。