日本経済新聞(2023年3月8日)

中央教育審議会は8日、2023年度から5年間の教育行政の指針となる「第4期教育振興基本計画」の案をまとめ、永岡桂子文部科学相に答申した。成長分野の人材育成に向けた大学の理系学部拡充や不登校の児童生徒への支援強化などを盛り込んだ。具体的な数値の目標は少なく、計画の実効性確保が課題となる。

06年改正の教育基本法は国に基本計画の策定を義務付けた。これまで第1?3期の計画があり、22年2月に諮問を受けた中教審が第4期(23?27年度)の内容を検討してきた。答申を受け、政府が夏ごろまでに計画を閣議決定する見込みだ。

計画はグローバル化やデジタル化を踏まえ「予測が困難な時代に課題解決を通じて持続可能な社会を発展させる人材」の育成を掲げた。STEM(科学・技術・工学・数学)を含む自然科学分野専攻の学生や、理工系の女子学生を増やす目標を定めた。

英語力については英検3級相当以上の力がある中学3年(21年度時点で47%)を「6割以上」に引き上げるとした。不登校の児童生徒を支援するための特例校を全都道府県と政令指定都市に設け、将来的に300校に増やす目標も盛り込んだ。

ただ、こうした数値目標を明示した項目は少なく、教育政策の進捗の度合いをどう検証するか課題が残る。