産経(2023/4/26)

学校法人のガバナンス(組織統治)を強化する改正私立学校法が26日、参院本会議で可決、成立した。日本大幹部の背任・脱税事件など、私立大を巡る不祥事が近年相次いだことから、理事らの背任行為や贈収賄に新たな罰則を設けることなどが柱。評議員会には理事の解任請求権などを与えて監視機能を高める。令和7年4月に施行される。

新たな罰則のうち、理事らの特別背任罪は7年以下の拘禁刑(懲役・禁錮を統合し25年までに新設される刑罰)か500万円以下の罰金、またはその両方を科す内容。刑法の背任罪よりも法定刑は重くなる。贈収賄や目的外の投機取引、不正な認可取得も拘禁刑などを科す。

理事会の諮問機関に位置付けられ法人を監視・監督する評議員会には、理事が辞職を拒否した場合を想定して新たに解任請求権を付与。ガバナンス強化の観点から理事と評議員の兼任は禁じる。さらに、大学や短大を運営する法人の場合には、合併・解散といった重要事項に関して評議員会の議決が必要になる。

私大のガバナンス強化を巡っては当初、文部科学省が設置した専門家会議が、法人の最高機関を理事会から学外者による評議員会に変更し、理事の選任や解任など権限を強化する案を提言。しかし、私学団体からは「学外評議員だけでは法人運営の責任は取れない」などの批判が出たため、文科省が別の会議体を立ち上げて検討を進め、理事会を最高機関に位置付けたまま評議員会の監督機能を強化することで意見がまとまった。

学校法人理事の罰則新設 改正私学法、不祥事防止
教育

日本経済新聞(2023年4月26日)

学校法人のガバナンス(組織統治)を強化する改正私立学校法が26日、参院本会議で可決、成立した。日本大幹部の背任事件など私立大を巡る不祥事が相次いだことから、理事らの背任行為や贈収賄に罰則を新設。理事の解任請求権などを評議員会に与えて監視能力を強める。施行は2025年4月。

新設される理事らの特別背任罪は、7年以下の拘禁刑(懲役・禁錮を統合し25年までに新設される刑罰)か500万円以下の罰金、またはその両方を科すとし、刑法の背任罪より法定刑が重い。贈収賄や目的外の投機取引、不正な認可取得も拘禁刑などを科す。

理事会の諮問機関として法人の監視・監督を担う評議員会には、理事が辞職を拒んだ場合を想定し解任請求権を与えた。

なれ合いを防ぐため、理事と評議員の兼任は禁じる。大学や短大を運営する法人の場合、合併・解散といった重要事項は評議員会の議決を必要とするルールを加えた。

文部科学省の有識者会議が法改正を検討した際は、評議員会を法人の最高機関に置く案が有力視された。ただ私学団体が「自主性を損ねる」と猛反発し、諮問機関との位置付けを維持した。〔共同〕