道新(2023年4月6日)

札幌大学が地域共創学群ロシア語専攻について、本年度の入学生を最後に学生募集の停止を決めた。文部科学省によると、道内の四年制大学でロシア語専攻があるのは札大だけ。日ロ関係の悪化で今後も入学者の増加が望めないことが背景にあり、札大は少子化で入学者数の低迷が続き、存続は難しいと判断した。
札大のロシア語教育は、1967年の創立時に定員50人の外国語学部ロシア語学科としてスタートし、卒業生はロシアとの取引や交流がある企業や自治体などで活躍してきた。旧ソ連の崩壊で、92年には志願者数は664人とピークに達したが、近年は低迷していた。13年に学部の再編でロシア語専攻になってからは一度も募集定員の19人に満たず、23年度の入学者は6人にとどまった。3月末時点の卒業生は2138人に上る。
ロシア語専攻の岩本和久教授(ロシア文学)は「北方領土交渉や民間交流が盛り上がると、ロシアへの関心も高まるが、近年は日ロ関係に進展がない上に、ウクライナ侵攻が志願者減少に追い打ちをかけた」と分析する。
オープンキャンパスなどで接した受験生の中には、ロシアへの関心を持つ生徒も少なくないと感じたというが「侵攻が続く中、周囲の反対でロシア語を学ぶ選択をしなかった生徒もいたのでは」と話す。
ロシア語教育は既存のリベラルアーツ専攻の学生が幅広く学ぶ一分野の教育内容として残す。ロシアに関する研究拠点として19年に開設したロシア文化センターは今後も存続させる。