毎日新聞(4/14)

福井大教授が、他大学の複数の研究者と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する査読偽装をした問題で、文部科学省が国内の大学などの研究機関に対し、適正な研究活動に努めるよう通知を出したことがわかった。通知は3月24日付。

通知は同省科学技術・学術政策局長名で、同省から予算措置を受ける大学や民間企業など約2000の研究機関が対象。福井大が2022年12月、福井大教授の論文6本で査読偽装が行われたと認定したことを受け、注意喚起した。

研究不正に関する国のガイドラインでは、査読偽装は、捏造(ねつぞう)や改ざんといった特定不正行為には該当せず、研究費の返還などの罰則もない。しかし通知では、今回の査読偽装を例示して「研究実績の不当な水増しにつながり得る、研究者倫理に反する行為に当たる」と指摘。近年では他にも、論文の二重投稿など、特定不正行為に該当しない不正行為が確認されているため、不適切な行為の調査に適切に対応することや、研究者への研究倫理教育の強化などを求めた。

査読は、学術誌に投稿された論文をその分野の別の専門家が読んで内容の妥当性をチェックし、掲載の可否を判断する審査。査読偽装を巡っては、文科省は日本学術会議に対しても、査読に関する対応指針の作成を依頼し、学術会議が作業を進めている。